ゴム印の作成
Podeaは基本的に燃焼しやすい自然素材をターゲットにした加工機です。
最近は仕上がりの高精度さから業務向けで使用されることも非常に多くなりましたが、今回は本来のPodeaらしい作例をご紹介します。
実務レベルの運用・使用には向いていませんが、ゴム印を作ってみたいと思います。
使用機種 Podea-01 (Type-G) 6Wモデル
仕様素材 レーザー用シリコンゴム印(赤 67x21㎜)
加工時間 約40分
使用ソフトウエア CorelDRAW Essentials X6
鳥の絵をモチーフに架空の鳥カフェの住所印のデザインを作成しました。
今回はPodeaがどこまでの精細さを実現できるのか具体的な検証をするため文字の高さを2㎜にした漢字を含む文字を彫刻してみました。
高さ2㎜は一般的にはアルファベットぐらいしか使えません。漢字は画数が少なくてもとても難しい内容です。
データを作成したら後は簡単です、データを転送して彫刻するだけです。
1発彫で仕上げる方が上手く行くようですので加工パラメータを調整し
比較的ゆっくり加工します。(6Wモデルでの1回彫り 最高精細モードでの加工 約40分)
レーザー用シリコンゴムと適切な排気なのであまり匂いはしないのですが、加工後火山灰のように残っています。
これを柔らかいブラシ等を使用しながら流水で洗浄します。
なお、各種レーザー用ゴム印を試して見たのですが相性がいくつかあるようです。
今回は独自に調達をして相性が良い物を見つけましたが、加工再現性の高い材として今後ユーザ様限定での提供も検討しております。
シリコンゴム板は柔らかく、なかなかスパッと切る方法が無いのですが、今回はペーパーカッターで切断しました。
この様な道具が無い場合は、カッターナイフと定規で何回も切りつけながら切断する方法が現実的だと思います。
一番上の写真を見てみると分かりますが、ハサミで面取り加工をしています。
経験上こうすると押印した時にゴム印の四角枠の部分にのったインクが転写されにくく綺麗に押印できます。
持ち手材にゴムを張り付けて押印してみました。押印したい部分のみ綺麗に一発で押印出来ると気持ちが良いです。
(もうすこし濃く捺印出来るインクにすればよかったと後悔)
綺麗に出来上がったのは良いのですが、今回はどこまで刻印出来るかの検証が残っています。
定規をそろえてみると全体の雰囲気と寸法が分かります。
漢字の部分に注目してみます。文字の高さは約2㎜です。Podeaレーザー加工機は1000dpiの分解能がありますが
数字に直すとこれは約25.4μm(ミクロンメーター 1mmの1/1000の単位)です。とても小さい数字にも感じますが、2㎜の文字サイズでは約78個の点しか打てません。レーザー加工機としては縦に78ドット横に78ドットで漢字を表現しています。
この精度は機械の構造・ソフトウエア・調整が全て完璧に揃っていないと実現できません。
Podeaレーザー加工機でゴム印加工
ゴム印は正直なところあまりPodeaでは向いていない加工と思っていましたが印材を独自調達し最適な物を組み合わせて6Wモデルで
加工すれば比較的容易に綺麗な印面が得られることが分かりました。
2㎜という高さの文字でも画数の少ない漢字であれば十分に認識できるレベルに仕上がっています。
Podeaは制御ソフトウエアやデータ処理等の部分そしてメカ部分を全て設計しています。
そして何よりも最終的な調整が適切にされていないと全てが無意味になります。
ソフト・ハードそして機械として最も重要な調整、全ての要素が足並みをそろえて全て完璧な時に初めて最高の加工結果になるのです。
これはPodeaが手間がかかっても調整をした完成品を納品する理由の全てです。
現時点でも印面の美しさは十分なレベルに到達していますが
たった一つの作例でも多くの気づきがあり、ソフトウエアの足らない部分も明確になり、今後の改善に役立てられる予定です。
Podeaは現状に満足せず、とどまらず、進化と改善の歩みを続けてまいります。