極厚ボール紙レーザー加工
木材から作られる紙は、私たちの生活にはなくてはならない存在です。それだけ一般的でありなじみの深い素材です。
紙は情報を記すことに多く使用されるため、比較的厚みのある素材は薄い厚みの物に比べ少ないようです。
厚みのある紙でポピュラーな素材の一つとして、ボール紙がありました。
今回は、ノートやスケッチブックの外装に使用される厚みがあり、丈夫なボール紙に加工をしてみました。
使用機種 Podea-01
仕様素材 ボール紙(厚み0.8mm)
デザイン絵はチェロ(Cello)を採用しました。
バイオリンより人の声に近いと呼ばれる大型の弦楽器です。使用したのは単純にチェロの音色が好きだからです。
チェロの部分は彫刻加工で、文字の部分と、f字孔と呼ばれるチェロ本体に空いている穴の部分を切断するデザインにしました。
全体の濃淡については、コルクボードに絵柄を彫刻した時と同じ手法で点の集合データにして加工データにしました。
あとは、ノートをバンドルするリング部分にデザインが重ならないよう注意してデータを配置して完成です。
Podeaシリーズの最初の作品となるPodea-01は本来彫刻に特化したデザインで作られており、切断には不向きな構造となっています。
それでも世の中的にはレーザー加工機=レーザーカッター=切断する機械という認識(というより要望)が強いようです。
今回の作例もPodeaで出来る範囲で切断のデザインを取り入れてみました。
Podeaは切断加工は苦手なのですが、加工パラメータを追い込むことで綺麗な断面で切断をすることが出来ました。
具体的にはゆっくりと加工するのではなく、加工スピード(移動スピード)は比較的早く動かしつつ、何回も繰り返し加工する感じです。
Podeaの加工ソフトウエアはこの繰り返し加工数を指定することができますので、加工条件を的確に追い込んでいくことが出来ます。
加工した感触としては極めて木に近い特性でしたので、近いうちに薄い木も切断してみたいと思います。
本来はまったく穴や加工をされることがないノートの表紙部分に、彫刻と切断加工を施してみました。
絵柄は印刷等の手法で代替えが容易だったりカラフルな絵柄が作れるため、レーザー彫刻するのは用途としては強くないかもしれませんが、
文字部分の切り抜き等は印刷ではなく、完全な加工の分野であるため、レーザー加工機が有用に活用できる部分だと思います。
f字孔等の加工の部分も含め、切断加工はインパクトのある一品を作るには良い手法でしょう。
ノートの表紙に限らず、工作にボール紙は使われることがあります。正確に切断が出来るとボール紙や厚紙の利用範囲や応用例が広がります。
Podeaレーザー加工機は小型で加工が可能な素材や範囲の制限はありますが、今まであまりにも加工機が高額で使用されなかったような分野での製作や創作に非常に低いハードルで利用することができ、新たな可能性と市場を作り出すことでしょう。